くんぞうの独り言~小説~
「意味わからない」「ちょっと何言ってるかわからない」
最近よく耳にしませんか。勉強の場においても生徒の日本語の語彙力の低下や、助詞の間違った使い方が気になることが多くなってきています。そのままにすると、自分の思っていることを相手に伝えきれなかったり、言い負かされたり、また、相手を理解できなかったり、思いをくみ取れなかったりして、つらい場面に出くわすことになるかもしれません。
原因はいろいろ考えられます。SNSの影響、電子辞書、大人との会話機会の減少、読書量の激減、そして、国語の授業の入試対策化などがあげられるでしょう。そして、その入試は論説文(説明文)がメインであり、小説の出題が減っています。
2022年度から高校の国語のカリキュラムが変わります。「国語総合」が「現代の国語」と「言語文化」になります。この2科が高校必修です。「現代の国語」は実用文(契約書など)と論説文が主となり、「言語文化」は古典が主となるようです。なので、小説はここでもますます軽く扱われるようになります。たしかに入試で高得点をとるとか、論説を的確に読み取るとか、詐欺にあわないように、ばかをみないように実用文で法律系の文言をきちんと押さえることはとても大切なことです。でも、塾としてもそれだけで良いのか、はなはだ疑問が残ります。「そうじゃないんだよ」って感じなんですよ。
現在、学校では小学3年から英語の授業が開始されます。国語でようやく主語と述語を習った後です。日本語により詳しくかかわろうとする頃にはもう英語の授業が始まってしまうのです。これではますます国語力が低下するばかりです。
最近SNS界隈でなくとも殺伐とした、他人の気持ちに寄り添わない言葉が横行しています。わざと傷つける人もいるのでしょうが、それよりも他人の気持ちを推し量れない人が増えているような気がしてなりません。
You tubeやSNSで時間を消費するより小説を読みましょう。自分ではなりえない主人公の心にシンクロして、まるで別の人生を歩んでいるような疑似体験をしましょう。人の揺れ動く心情に触れて、さまざまな場面でどう思考し、どう行動するのか、その結果、作品中の主人公はどうなるのか、自分はそうなりたいのか、なりたくないのか、1冊で読み込める情報量の多さや情緒の豊かさは読者にとってかけがえのないものになるに違いありません。単純に言葉や文章を味わいましょう。小説を頭の中で映画化しながら読める人は、試験の問題文の理解も早いし、なにより、人の気持ちや場の空気を感じ取れる、そして、まわりを思いやれる優しい人になれるはずです。
冬休みは小説を1本、読んでみませんか